今回は35歳で転職をしたエンジニアの体験談について紹介します。
目次
転職歴
35歳男性Aさんの場合
情報工学の大学院を卒業後、連結従業員数2600人規模の中堅会社にエンジニアとして入社。
親会社は、日本でも有数の大企業で、その親会社の社内システム構築や金融業向けシステム構築を行っていたが、スキル向上を理由にベンチャー企業に転職。
今回はその時のレポートです。
入社後にAさんが大変そうだったこと
スピード感の違い
ベンチャー企業は、圧倒的にスピード感が違います。
ひとりが持っている裁量が大きくて、Aさんは、驚かれているようでした。
特にAさんは35歳という年齢もあり、サブマネージャーというポジションで転職しました。
象徴的なのが、置き電話がないということです。
社員には全員スマホが渡され、用事のあるときには直接本人につながります。
置き電話があるのは、採用活動を行う人事部ぐらいでしょうか。
ただ、そうすると、クライアントからの電話が直接かかっています。
休日の日にクライアントから着信があれば折り返さないわけにはいきません。上司からの電話も同様です。
Aさんのマネージャーは、本当によく働きます。
毎日深夜まで働いているということで社内でも有名です。
私もたまに連絡をとることがあるのですが、メールの送信時間をみて驚かされることがあります。
日曜日の夜にメールをすると、すぐに返ってきます。
このスピード感はベンチャー企業の特徴です。
わからないと言いにくい年齢
社内の中でも35歳という年齢は、転職するタイミングが少し遅いなという印象です。
20代と30代では、求められる要素やハードルの高さが変わってきます。
ただ、35歳以上はもっとハードルが高くなるので、Aさんは最後のチャンスだと思ったのかもしれません。
Aさんは、前職での仕事に面白みを感じなくなって辞めたそうです。
そして、より好奇心を刺激されるベンチャー企業に転職したいと思うようになったというのが志望動機でした。
しかし、転職してAさんがぽろっとこぼした言葉ですが、「完全に井の中の蛙だった。」と言ったことがあります。
能力の高い20代も大勢います。
20代の方ならわからないと言えることも、35歳のAさんは言いにくいのでしょう。
転職という新たな環境では知らないことも当然出てきます。知らないことを知らないと言う勇気も必要なのだと思います。
社内評価がゼロから始まる
もちろん会社は、面接を通して、Aさんのことを評価して採用したわけですが、他のメンバーはAさんのことを全く知りません。
ゼロの状態から始まります。
この状況を楽しめる人でないと転職はおすすめできません。
前の職場のほうがやりやすいなどと愚痴を言ってももう遅いです。
愚痴ではないですが、Aさんも新しいメンバーとのコミュニケーションに少し苦労されているようでした。
とくにAさんは、前の職場の勤務歴は10年ほどと長く、メンバーの特性を知り尽くしていたのではないでしょうか。
一緒に働くメンバーとのコミュニケーションが問題なく行えているのならば、転職しないほうがいいかもしれません。
どうやってクリアしたか
プライドを捨てる
35歳は、わからないと言いにくい年齢と言いましたが、この際プライドを捨てるのがいちばんだと思います。
Aさんは、自分の部下の若手エンジニアにも、分からないことは質問していました。
エンジニアとして、知識の質や幅が違うだけと自分を信じて、質問しましょう。
何か質問しただけでは、大きく評価が下がることもないと思います。
知らないまま仕事を進めていくことはできません。
とくにAさんはサブマネージャーとして転職したので、何年か後にマネージャーになることを求められていました。
メンバーとのコミュニケーションも大切なので、Aさんは質問を通してコミュニケーションをとっていっていたように感じます。
感度を高く、知的好奇心をもつ
エンジニアとして最も大切なことは、社会情勢を把握して常にアンテナを張っておくことです。
これを楽しめる方が一流のエンジニアになります。
特にベンチャー企業では、この姿勢を強く求められます。
私たちの会社では、社内の一部スペースにエンジニア向けの雑誌が置いてあります。
その他にも、さまざま技術本が並べられており、図書館のように借りられるようになっています。
本の貸し出し担当者に聞くと、できるエンジニアほど貸し出し数が多いようです。
好きこそものの上手なれ、ですね。
その他、Aさんが転職して戸惑ったこと
深夜残業は当たり前、常にパソコンをチェック
ベンチャー企業って忙しいイメージがありますが、私たちの会社は、まさにそのイメ―ジ通りです。
社長や役員の仕事量はわかりませんが、マネージャーの残業時間は恐ろしいことになっていると思います。
社内にいなくても、メールの返信は返ってくるので、パソコンは見ているのでしょう。
Aさんは、まだそれほど残業していなくて20時か21時には帰れていますが、先に帰って悪いな、みんな遅くまで頑張っているのだな、とおっしゃっていたので、この残業時間の多さには驚かれていることでしょう。
仕事とプライベートの境目がない、つまり仕事を苦痛だと感じていない、できれば楽しいと思っているような方はベンチャー企業に向いているかもしれません。
ベンチャー企業は想像以上に刺激的だった
総括して言うと、Aさんにとってベンチャー企業は想像以上に刺激的だったと思います。
ただ、Aさんはこのギャップを楽しんでいます。
前職で親会社の社内システムをマイペースで構築していた頃には味わえなかっただろう刺激があります。
正直なところ、Aさんは自分自身を仕事ができるほうだと思っていたと思います。
ただ転職して、優秀な多くの若手エンジニアと出会い、価値観が大きく変わった雰囲気があります。
20代の若手エンジニアとも競うように働かれています。
とても楽しそうに仕事をされているなと思います。